クリエイティブ制作の変革が、経営を変える。 サイバーエージェントが支援する「AI×制作プロセス改革」の最前線

DXの波が各産業に押し寄せる中、企業のクリエイティブ制作の現場もまた、大きな変革期を迎えています。日々増大し、多様化するクリエイティブ制作へのニーズ。これに従来の体制で応え続けることに限界を感じ、『日々増え続けるクリエイティブ業務にリソースが追いつかない』『外注コストが膨らみ続けている』『制作スピードが市場の変化に間に合わない』といった切実な課題を抱えている企業も少なくないのではないでしょうか。
こうした状況を打開し、企業の持続的な成長を支援すべく、当社は2024年12月に「AIクリエイティブBPO事業部」を立ち上げました。AIと人間の共創が切り拓く新たなクリエイティブ制作と、その具体的な取り組みを、最前線の事例を交えながら解説します。
なぜ今、クリエイティブ制作にAIが必要なのか?企業が抱える本質的課題
生成AIや動画プラットフォーム、パーソナライズされた情報配信の進化などにより、私たちの“情報との出会い方”はこの数年でさらに大きく変わってきました。それに伴い、企業と生活者のコミュニケーションの在り方も、根本から見直しを迫られています。
特にクリエイティブ制作の現場では、成果を出すために必要とされるコンテンツの「量」と「スピード」がこれまでにないほど加速しており、従来の体制では追いつかなくなっているのが実情です。制作コストの増大、品質管理の煩雑化、そして変化への対応の遅れは、企業の競争力を直撃する深刻な課題となりつつあります。このような状況の中で、AIを前提とした制作プロセスの見直しや効率化は、今や多くの企業にとって不可欠な取り組みとなっています。
サイバーエージェントが支援する「クリエイティブBPO(Business Process Outsourcing)」
こうした背景から、当社は2024年12月、「AIクリエイティブBPO事業部」を新設いたしました。本事業部は、当社が長年にわたりインターネット広告事業で培ってきたAI活用の知見と、広告効果の最大化を追求し、数多くのクリエイティブと成果データを学習させた独自開発AI「極予測AI」を基盤に、企業のクリエイティブ制作プロセスを上流の戦略策定から下流のオペレーションまで包括的に支援することを目的としています。
単に業務を請け負うのではなく、企業の「AIが主役となる制作プロセスへの転換」を推進し、持続可能な成長に貢献すること。それが私たちのミッションです。

2013年サイバーエージェント入社。広告事業部門にてSEMの営業・運用コンサルを行う部署を局長・副統括として牽引したのち、2025年より「AIクリエイティブBPO事業部」の事業部長に就任し立ち上げを主導。
具体的には、広告に限らず企業に関わる全てのクリエイティブ制作を、企業ごとの「専用AI開発」+「専用制作体制」のセットで支援することで、現状の制作コストの50%削減を目指します。

1.企業ごとに専用AIを開発、制作コストの大幅な削減を実現
「極予測AI」などを中心とした当社のAIツールなどをカスタマイズ導入。これにより、制作物の効果予測精度を高め、データに基づいたクリエイティブの自動生成や最適化を行います。「極予測AI」の活用により、当社でこれまで3カ月で10万本のクリエイティブを内製した実績や、トップAIクリエイターの広告制作量が最大15倍に伸びた知見などを展開、制作プロセスの効率化はもちろんのこと、クリエイティブの品質安定化を実現します。
2. 企業ごとにAIと協働できる制作体制を確立、クリエイティブ内製化をサポート
AI技術の導入と共に、企業が中長期的にクリエイティブ力を強化していくためには、独自の制作体制の構築が不可欠です。当社は、クリエイティブ専門子会社の設立・運営で培ってきた実践的なノウハウを活かし、企業のクリエイティブ内製化とAIと協働できる体制を構築します。企業が自律的に高品質なクリエイティブを生み出し続けられる体制を築き上げるまで、伴走者として支援します。
人とAIの協働が不可欠な理由
AI技術の進化は目覚ましく、クリエイティブ制作の現場にもすでに大きな変化をもたらしています。当社が描く未来像は、AIが主体となり、自律的にクリエイティブを生み出す体制の実現です。
現在は、AIが生成したアウトプットを人が活用・調整する"協働フェーズ"にありますが、これはあくまで過渡的な段階と捉えています。
今後は、これまで専門スキルが求められていた表現や制作も、AIの進化により誰でも扱いやすくなり、外部への依頼や細かな制作工程が不要となる環境へとシフトしていくと考えています。そうした中で、人は手間のかかる作業から解放され、創造性や戦略といった本質的な領域により集中できるようになります。
クリエイティブBPOでは、こうしたAI活用の即時性と柔軟性が求められる時代に対応し、制作体制全体を最適化するパートナーとして、企業の変革を支えてまいります。これまでにも極予測AIなどのツールを活用し、AIと人の強みを融合させた成果創出体制を構築してきた当社だからこそ、その変革を現実の成果へとつなげることが可能です。

【事例】ベネッセとの「AIクリエイティブセンター」:共創による価値創出の現場
「AIクリエイティブBPO事業部」の取り組みを象徴する事例の一つが、昨年、株式会社ベネッセホールディングス様との協業により沖縄に設立した「AIクリエイティブセンター」です。教育・介護・生活支援など、多岐にわたる分野で社会課題の解決に取り組むベネッセ様においても、デジタル化とAI活用の加速はさらなる事業成長に向けた重要なテーマとして位置づけられていました。そこで私たちの技術とノウハウが貢献できると考え、今回の協業に至りました。

設立から約半年、具体的な取り組みとして、イラストやチラシ、動画といった多様な制作物にAI活用の導入を開始。例えば、教材用の人物素材やイラスト素材、キャラクター素材をAIで制作した事例では、従来のモデルキャスティングやイラストレーターへの発注と比較して、大幅なコストカットに繋がっています。また、英語のリスニング問題に使用する数十点のイラスト制作においては、ラフ案を生成AIで複数パターン作成し、すり合わせを経てから本制作に入ることで、制作日数の大幅な短縮を実現しました。これらは単に素材をAIで置き換えるだけでなく、制作ワークフロー全体の効率化、すなわちプロセスと体制作りの変革に着手していることを意味します。

持続可能なクリエイティブ制作の実現に向けて
AI技術は急速に進化しており、クリエイティブ制作の現場にも大きな変化をもたらしています。実際、この事業がスタートしたわずか半年前と比べても、生成AIでできることは飛躍的に広がりました。
AIと人が協働することで、私たちビジネスパーソンは、創造すること・意思決定すること・コミュニケーションをとること等、「人にしかできないこと」に、より多くの時間と力を注げるようになります。AIクリエイティブBPOは、そうした環境づくりを支える、これからの企業にとって欠かせないソリューションになると私たちは信じています。企業が競争力を高め、持続的に成長していくための力強い一手になるはずです。
サイバーエージェントは、その実現に向けて「AIクリエイティブBPO事業部」を中心としたBPOサービスを多くの企業様にご提供し、業務改革をご支援してまいります。
企業・クリエイター・AIが三位一体となり、新たな価値を生み出す時代は、もうすでに始まっています。これからの企業競争力の鍵となるクリエイティブDXを、ぜひ、私たちと一緒に実現していきましょう。

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サイバーエージェントは、世界を魅了するグローバルヒットIPの創出に向け、源流となる作品開発からマネタイズまでを一気通貫で担う体制を強化しています。
2024年のアニメ&IP事業本部の設立を機に、長年のノウハウとグループの総合力を結集。アニメを起点とした多角的な戦略を展開しています。
クリエイターファーストの精神を第一に、テクノロジーを駆使しながら、世界市場を見据えた挑戦。アニメ&IP事業を統括する当社専務執行役員 山内に聞きました。